特許、商標を出願するだけでなくビジネスでの活用を見据えたアドバイスを行っている橘先生。弁理士だけでなく、コンサルティング会社の代表という一面もある先生に事務所の特徴や今後の展望などインタビューさせていただいた。
所有資格
弁理士
MBA
日本弁理士会知的財産経営センター(コンサル第1事業部)委員
弁理士クラブ政策委員会委員長
著書
設備投資タイミングの最適化に関する研究
侵害訴訟における特許無効の抗弁に関る研究
集合知と知的財産権
TPP条約と知的財産戦略 等
先生が弁理士を志した理由は?
元々旭化成の経営企画部で新規事業の立ち上げをやっていました。ある日、素材メーカーである旭化成がB to Cのインターネットビジネスという全く新しい分野の事業を立ち上げることになり、そのチームリーダーになりました。自社で管理栄養士を抱え、お客さんにデジカメで撮影した食事の写真を送っていただき、その画像を分析してカロリーを調べたり、栄養指導をするというインターネットビジネスでした。B to Cのビジネスに関しては全く知見がなかったのですが、そこでビジネスモデル特許といういわゆる知的財産についていろいろと調べたり勉強して知識を蓄積しているうちにどんどんおもしろさにのめり入り込んでいきました。結果的にその新規事業はなくなってしまったのですが、知的財産のおもしろさを知ってしまったので、その道に進むことを決めて弁理士の資格を取得しました。
NAV国際特許商標事務所の特徴って?
単なる出願をするだけの事務所ではなく、活用できなければ意味がないので、活用までを見据えた特許出願、商標出願をするようにしています。また、取得した特許権の財産的価値がどれくらいあるのかご存知でない方が多いので、必要があれば計算して財産的価値を提示するようにしていることが当事務所の1番の特徴です。
相談に来られた方には、特許権や商標権を使ってどういうビジネスをしたいか聞くようにしています。コンサルティング会社でもあるので、どういうビジネスモデルでいけば今取得しようとしている特許が最も活きるのかアドバイスしているのも大きな特徴ですね。
特許を持っているものの、それを使ってどのようにビジネスをしたらいいかお困りの方もよくお客様から紹介されて当事務所に来ていただけています。
今後の弁理士業界とその中での先生の展望について教えてください。
弁理士業界はグローバル化していき、個人で対応していくことが難しくなってくるので、現在個人でやられているような弁理士事務所は大手の事務所に吸収されていく可能性があります。
今後の展望として、私は特許権を流通させるビジネスを考えています。証券市場のような技術の取引市場を金融のプロの人と協力して作ろうとしています。約150万件の特許が日本では登録されているのですが、半分以上が使われていません。大企業が自社の技術を守るために登録しているのでとても勿体ない状況です。技術の取引市場があれば、そこで中小企業も含めていろんな人が自由に技術を買えたり、提供できるようになるので技術をもっと有効に使えるようになると思います。中国ではすでにそういった市場があって、5兆円くらいの市場規模になっています。これまでの特許の枠組みとは違う、技術を買えて、提供できて、それがお金に変えられる新たな枠組みを作っていきたいです。
技術の取引市場を作る上で、今やらなければならないのは企業の意識を変えていくことだと思っています。以前取引市場を作ろうとして失敗したのですが、その理由は企業の意識付けができていなかったからです。自社の技術が1番だと思っているので、他の企業から技術を買ったり、借りたりすることはそもそも考えていません。本当は他にもっといっぱい素晴らしい技術があるということを知ってもらえるように企業に考えを広めていきたいです。