一人ひとりのお客様を大事に丁寧な対応を心がけている三溝先生。一般企業勤務、規模の大きな税理士事務所での実務経験を経て開業に至っています。そんな先生に事務所の特徴や今後についてなどインタビューさせていただいた。
先生が税理士を志した理由は?
大学を卒業後は10年ほど営業会社に勤めていたので、税理士とは無縁の世界にいました。
35歳の時に住んでいたマンションを売却して引っ越したのですが、値下がりしていたため買い替え損がありました。その時に不動産屋から「確定申告をしたら税金が戻るかもしれません」と言われて、何のことか分からないまま税務署を案内してもらい、確定申告相談会に行きました。そこで住んでいた家を売って損が出た時に損益通算というのができることを知り、申告書を書いて税金が返ってきました。「そんなことができるんだ、すごい」と思って税金に興味を持ち始めたのが最初のきっかけです。
また、ずっとこのままこの会社に定年までいるのかなと考えた時に、この先何が起こるか分からないので、手に職を持っていた方がいいのではと思うようになっていました。そこで興味を持ち始めていた税金について学ぼうと専門学校に通い始めました。学校に通い簿記などの資格を取るうちによりおもしろさにのめり込み、働きながらでも資格取得が可能な税理士の道に進むことにしました。
二番町税理士事務所・三溝修税理士事務所の特徴って?
一人でやっている事務所なので、一人ひとりのお客様に手厚く対応しているところが特徴です。以前勤めていたところが大きな事務所で、次から次へと案件が回ってくるので、多くの案件を抱えじっくりと対応する時間がありませんでした。この経験もあり、私の目で領収書1枚からしっかりと見て、一人ひとり丁寧な対応することを心がけています。
お客様には、まず何に困って相談に来たのかお話をじっくり聞いて、その中で問題点が見えた時に、時間の許す限り最善の方法を探して解決に向けて動いています。フットワークも軽いので、メール、電話、LINEだけのやり取りではなく、何かあった際には会いに行って、顔を合わせてお話するようにしています。
会社員時代にパソコンを使って資料を作ることもしていたので、エクセル含めてパソコンまわりの知識は明るいです。資料も興味を持っていただきやすい項目に目立つよう色をつけて見栄え良くわかりやすいものを作成して説明するようにしています。お客様もいろいろ数字を並べられてもわからないという人が多いと思いますので、売り上げ、利益、経費などの一般的なお話をして、慣れてきた方には徐々に深いお話にもっていくように心がけています。
すべてを把握したいお客様、忙しくてすべてをお任せしたいお客様など様々ですので、何を望んでいるかを聞いて、性格もつかみながら、柔軟にお客様に合わせるようにしています。
今後の税理士業界とその中での先生の展望について教えてください。
最近の税制改正の内容を見ていますと、従来の制度がより多様化、複雑化してリニューアルされる傾向が見受けられます。これは、これまでの割と一律で平坦な税のかけ方から、いわゆる「税の取り漏れがないように」と「税を取れるところから取ろう」という二つの方向性へ明確にシフトしてきているためだといわれています。一つの良い例が、とてもシンプルだった配偶者特別控除の制度が、今では一見しただけでは自分がいくらの控除を取れるのか理解するのは困難な状況です。そしてそうした傾向は今後ますます強まっていくものと思われます。そうした多様化、複雑化する税の諸制度を正しく理解し、それぞれのクライアントの状況に応じてしっかりと交通整理していくのが、これからの税理士に求められる重要な役割の一つではないでしょうか。それにはクライアントの収入の特性や生活スタイル、家族構成や将来のビジョンなどを把握・共有し、また変化が起こったときにレスポンス良く対応していきながら、クライアント一人一人にとって最適な納税環境を提供していく、それはまだまだAIには対応が及ばない分野なのではないかと思っています。そういった意味で、いわゆる生身の人間としての税理士の役割は今後ますます重要度を増していくと期待しています。
今後に関しては、一つひとつ顧問先を増やしながらゆくゆくは誰かを雇ってやっていきたいですね。私の考えや、やり方を踏襲してくれるような人を雇いながら次につなげていけたらなと思っています。そのためにしっかりと今は土台作りとして、既存のお客様を大切にしながら新規のお客様を増やしていけたらなと思います。