国税局や税務署での勤務を経て独立された諌武先生。国税局の花形部署で活躍され、資産税に造詣の深い先生です。国税職員としての経験や培った豊富な知識を納税者に還元していきたいという強い思いを抱かれています。そんな先生に事務所の特徴や今後についてなどインタビューさせていただいた。
先生が税理士になったきっかけは?
「職場の空気感」と「納税者に対する考え方」に違和感を覚え始めたことが税理士になったきっかけです。税務署の窓口を担当する職員と運営を担当する職員の間には、納税者に対する考え方にかなり違いが生じています。その空気感と考え方にどうしても我慢ができなくなりました。納税者1人1人に対して公平な仕事ができているのか自問自答を繰り返した結果、決して公平とはいえない現状に不満を持ち、税理士として納税者に寄り添った仕事をすべく独立の道を選びました。
近年の税務署ではICTを活用した設備の導入が進んでいます。しかし高齢化が進む日本社会においては、不便に感じている納税者も大勢いらっしゃいます。20年以上前の話になりますが、以前は税務職員と納税者が一対一で面会をすることが普通でした。納税者の主張を聞くことができ、税務職員も事情を酌んだ対応ができていたので、お互いに納得が得られていたと思います。また税務職員にとっても市場全体の経済状況を把握する機会だったので、重要な面会でした。昨今では人員的な要因もあり一人ひとりと面会することは難しくなりましたが、ICTの導入である意味公平な申告制度は整いました。ただ、果たして納税者のために改革ができているかと問われると疑問を感じる点がいくつもありました。そこで、私自身が納税者側に立って税務署に対して問題点を指摘する方が性に合っていると考えるようになり、税理士になりました。
いさたけ税理士事務所の特徴って?
私は国税の職場に27年間勤め、資料調査課や国税訟務官室など、調査だけでなく国税訴訟事務を専門とする部署も経験しました。そのため他の開業している税理士とは異なる経歴を持ち、経験を積んできたことは当事務所の特徴だと考えています。
実際の業務においては、税務調査が来た時に、当局の調査手法から指摘点などを想定することができるので、納税者側の主張を尊重した意見を通しやすくすることができます。また、折り合いがつかず、訴訟になってしまった時でも過去の判例をもとに弁護できる知識と経験を積んでいることが私の最大の強みです。俯瞰的な視点で重要なポイントを押さえ、納税者にできる限り負担をかけないスピーディーな対応をすることができます。 また資産税も専門分野としており、相続税、贈与税、譲渡所得(不動産売買・株式の売買)などに精通しています。一番大きな金額が動く税目なので、経験と知識が求められます。国税局での勤務経験が何よりの強みとなり、他の税理士事務所からお問い合わせをいただき、資産税の顧問を引き受けることもあります。
税理士が判断しづらい内容でも、税務署のノウハウや判断基準をもとにお答えすることができるので、今までの経験や知識を納税者に正しく還元していきたいと考えています。
また不動産・株式・美術品など、評価事務に携わった経験も豊富にあり、全国の地価の推移なども把握しているので、全国からのお問い合わせにも対応できます。
今後の税理士業界についてと先生の展望を教えてください。
税理士登録者数は非常に多く、飽和状態が続き、繁盛店との二極化が進んでいます。さらに、インターネット等により納税者も知識が得やすくなり、世代交代に取り組む会社も増えたことでセカンドオピニオンなどの相談件数が増加しています。そのため昔と変わらないスタンスで業務に臨んでいる税理士は今後10〜15年の間で淘汰されていくと考えています。その流れで資産税を担当できる税理士の割合が減少する一方、相続の相談件数は1.8倍に増加すると考えられているので、対応できる税理士がいないという状況になるのではないかと危惧しています。また、顧問税理士業務については会計ソフトの普及により、税理士を雇わない法人や個人事業主が増加しています。その影響で記帳代行業務は増々縮小していくと思います。
私自身は資産税専門の税理士として、まずはこの茨木エリアを中心に根付いていくことが今後の展望です。相続に関するご相談、税務調査のご相談、セカンドオピニオンなど、これからは納税者側の立場から税務に携わっていきたいと思います。