地域に根差し、相続や遺産承継、民事事件など、様々なご相談にのられている大室先生。地域の方の些細なお悩みにも対応できる身近な専門家として日々業務にあたっています。そんな先生に事務所の特徴や今後についてなどインタビューさせていただいた。
先生が司法書士になったきっかけは?
高校卒業後は車に夢中になり、ガソリンスタンドでアルバイトをしながらサーキットに通うお金を稼いでいました。それから3年くらい経ち、この世界で食べていくことは難しいのかなと思っていたタイミングで、ガソリンスタンドで一緒に働いていた先輩が行政書士の資格を取って辞めていきました。そこで私も何か資格を取ろうと思い立ち、本屋さんに行き、その時たまたま手にしたのが司法書士の資格本でした。そんなところから司法書士試験の勉強を始め、その後、受験指導校にも通いました。そこで出会った先生が人権などの問題についてすごく熱い思いを持っている方で、その先生との出会いがあったおかげで司法書士は地域の方の役に立てる仕事だという意識を持つことができ、諦めることなく勉強を続けることができました。
上福岡法務司法書士事務所の特徴って?
当事務所は、相続関係業務に力を入れています。司法書士は弁護士法の兼ね合いで、どちらか一方の相続人の味方になることはできないのですが、家族間で直接話し合うことが難しい場合、司法書士のような専門家が間を取り持つことで円満にいくことがあります。相続のことでなにかお悩みをお持ちでしたらまずは一度ご連絡いただければと思います。
最近増えているご相談は、個人間での些細なトラブルなどの一般民事事件です。解決手段は、裁判による解決と当事者同士による話し合いの2つがあります。もし訴訟を行う際は、認定司法書士であれば簡易裁判所で弁護士と同じように法廷に立つことができますので、当事務所では、民事事件については代理人として訴訟活動を承っています。ただ、裁判を行なうとなると費用も期間もかかりますので、双方に裁判を行うメリットが少ないと見込まれる場合は、当事者同士で話し合いを行い示談で解決を目指すこともあります。実際に専門家を間に立てることでスムーズに示談がまとまるケースもありました。
ご相談の際は、とにかく話を聞くことに徹しています。初めて司法書士事務所を訪れる際は、話してはダメなことがあるのではないかと不安になられていたり、相談できる時間を気にされて、短い時間で必要な情報をたくさん話さなければと緊張されている方も多いと思います。当事務所は、相談時間に対しての料金設定はしておらず、初回に関しては無料相談を行っています。問題の解決には情報がすごく大事になってきますので、どんな些細なことでも気になる点があれば全部お話していただくようにしています。そのために、話を聞くことに徹し、話しやすい雰囲気作りを心がけています。
当事務所では、法律的には絶対に勝てるといったような案件でも、依頼者側だけでなく、相手側の気持ちもすごく大事にしています。例えば、相手側に不快な思いをさせてしまうと、仮に裁判に勝つことができたとしても、その判決に従ってくれず、さらに費用を払って強制執行という手続きをとらざるを得なくなってしまうことがあります。そうならないためにも、依頼者側だけでなく、相手側にアクションを起こす際も、相手側の立場にも立ち、気持ちをよく理解して、話をしっかりと聞くことを大事にしています。人間同士のトラブルは、ボタンの掛け違いで起きてしまっているケースも多いので、相手側の話もしっかりと聞くことで誤解が溶けて、最終的に円滑にいくことも多いです。
今後の司法書士業界についてと先生の展望を教えてください。
一昔前は、弁護士は都市に集中し、司法書士は各地に満遍なくいるという傾向がありました。それが司法改革により、弁護士の数が増えて、一時は司法書士不要論といった話も出ていました。しかし、私は司法書士だからこそできることもあると思っています。
医療で例えると、医師と看護師という資格があって、看護師にできて医師にできないことはおそらくないと思います。ただ、看護師は不要かというとそうではなくて、患者さんへの細かいケアなどとても大切な役割を担っています。それは法律の世界も同じで、地域の方にとってより身近な存在として仕事ができるのは司法書士だと思っています。
司法書士が地域の方から必要とされる資格であるためには、ただ登記などの業務を行うだけでなく、社会問題などに真っ先に取り掛かっていくような姿勢が今後は求められていくと考えています。私は相続や一般民事事件だけでなく、養育費や生活保護の110番などの公益事業もやっています。今後は、今以上に力を入れて、地域の方の立場に立って、社会に還元していけるような事業を一緒にやっていける仲間が増えたらいいなと思っています。
私が事務所を始めて丸5年が経過しました。私は受験回数6回目で司法書士の試験に合格したのですが、1、2回目の受験までは、過疎地に行って仕事をしたいと考えていました。しかし受験回数を重ねていく中で、すごく地元の方のお世話になり支えていただいた経緯がありましたので、資格を取って恩返しをするのであれば地元しかないと思うようになりました。まだまだこんなことって相談していいのかなと思われている方もたくさんいるので、まず困ったら連絡してもらえるような事務所にしていきたいです。それが弁護士の先生にお願いする必要のある内容であれば弁護士の先生をご紹介しますし、税務関連のことであれば税理士の先生をご紹介することもできます。なので、まずは困った人がすぐにアクセスできるように情報発信も行って、サービスを届けやすい環境をどんどん作り、地域の皆様と共に発展していけるような事務所にしていきたいと思っています。