顧問のお客様にどんどん儲けてもらうことを1番に考え、ベンチャー企業の労務管理や外資系企業の日本進出のサポートをされている栗城先生。都内の開業社労士では珍しい英語対応もしています。そんな先生に事務所の特徴や今後についてなどインタビューさせていただいた。
メディア掲載、執筆、講師実績
先生が社会保険労務士になったきっかけは?
母親が先天性の股関節症で、私が小学生の頃から杖をついて歩いていました。先天性だったので障害年金を受給できる可能性があったのですが、その制度のことを知らず、制度を知ったときにはすでに年齢制限を過ぎていたため申請することができませんでした。
一方で母親と同じ病院に通っているリハビリ仲間は、障害年金を昔から受給していたことをあとから知りました。受給できる金額の差は何千万にもなり、社会保障制度を知っているか知らないかで大きな違いがあることを身をもって感じたことがきっかけの1つです。
また、私が女性ということもあって、大学の女性の先輩から女性のキャリアの話を聞く機会が多くありました。結婚、妊娠、出産、育児といったように状況がどんどん変化していく中で、もがきながら働いている様子を知り、より社会保障制度について調べるようになりました。それらの延長線上に社会保険労務士という資格があったので、目指すことにしました。
栗城社会保険労務士事務所の特徴って?
当事務所の特徴は大きく分けて3つあります。
1つ目は、当事務所の方針でもあるのですが、顧問のお客様にどんどん儲けてもらうことを1番に考えています。顧問のお客様の売上が増えること、従業員の生産性が上がること、助成金や補助金を使って会社の規模が拡大することによって、結果的に当事務所に還元してもらうことを目指しています。
頻出する手続きや1年間の中で必須の手続きについては顧問料金内でやっているので、別途料金はいただいていません。顧問料金は従業員の人数×単価の従量制にしているので、人数が増えて会社の規模が拡大して売上が上がることで、当事務所に還元していただけるような仕組みにしています。
また、活用できそうな助成金はどんどん提案しています。以前は助成金を申請するにあたって手付金をいただいていたのですが、どうしても助成金が下りる可能性が高い場合しか提案ができませんでした。しかし、助成金が下りるかどうかは結局私が判断することではなく、厚生労働省や労働局が判断することなので、申請してみたら助成金が下りたということもありました。助成金はそういうもったいないところもあるので、当事務所では助成金を申請する際に手付金をいただかないことにしました。手付金をいただかないことで、受給できる可能性が低そうな場合でもまずはやってみましょうと提案できるようになり、助成金が下りた際に報酬をいただくようにしています。
就業規則の改正に関しては、顧問契約中は改定の料金を無料にしています。最新の法改正にどんどん対応していただき、従業員が働きやすい、いい会社になって欲しいという思いから無料にしています。これはあくまで一例で、なにか手続きが発生するたびに料金をいただくというわけではなく、料金を気にせずアクセル全開でサービスを利用していただくことで、結果的に早く顧問のお客様の売上が増え、従業員の生産性が上がることで、業績も上がり、当事務所への報酬も高くなるような、顧問のお客様と当事務所が同じ方向を向いてやっていけるような仕組みになるように工夫しているところが特徴です。
2つ目は、英語対応をしているところです。都内の開業社労士で英語対応をしているところはとても少ないです。私の学生時代の留学経験を活かして英語対応をしているのとTOEIC900点以上のスタッフも在籍しているので、外資系企業や外国人経営者、外国人を雇用する会社をクライアントに多く持っています。本国の親会社や外国人経営者と直接英語でメール、電話、月次レポート、会議等のコミュニケーションが取れることに力を入れており、日本の労働法がよくわからないという方に対して、資料を用意して英語で説明したりもしています。
3つ目はITです。後発の社労士事務所なので、事務所開設当初から当たり前にITに力を入れなければと考えていました。レスポンスの早さや手軽さを心がけ、Zoom等のオンライン会議やチャットでメッセージのやり取りができるようにしています。また、入社の手続きをする際に必要な情報をWord等で送って、全てを埋めていただくのはけっこう大変だと思います。そこで、お客様が少しでも楽になるように、WEB上にアンケートを作って、そこに入力していただくだけで必要な情報を送れるようにしました。
当事務所は、電子申請にも対応しており、お客様には余計な手間をなるべくかけさせず、より本業に集中してもらうことに力を入れています。
今後の社会保険労務士業界について
ITやAIがより必要になってくるのはもちろんなので、あえて違うことをあげます。
社会保険労務士は50数年前に誕生したのですが、これは日本特有のものです。世界を見渡すと人事や労務の仕事を企業に代わってやっているのは、社労士事務所というよりはコンサル会社がやっています。例えば、日本の企業がアメリカに進出するときに人事や労務は現地の誰に頼むかというと、社労士事務所がないので、コンサル会社に依頼しています。これを日本特有だから悪いということではなく、むしろいいようにしたいなと思っています。
例えば、海外の視点を踏まえた日本特有の職業について他の業界に目を向けてみると、アニメの声優さんがいます。海外にはアニメの声優という職業はなく、ハリウッドの俳優さんや女優さんがアニメの声優もやっています。日本のアニメは海外でもすごく人気なのですが、私が海外に留学した際、アニメ好きのルームメイトが日本のアニメを吹き替えではなく、わざわざ字幕版で見ていました。それは日本の声優のクオリティが素晴らしく日本特有のものだけど世界中で評価されているいい例だなと思いました。なので、私は日本には社会保険労務士がいるからこそ、「企業の労務管理がきちんとしている」「従業員を大切にするいい会社がある」と言われるようになればいいなと思っています。
今後の事務所の展望を教えてください。
当事務所の展望としては2つあります。
1つ目は、社労士事務所向けに英語業務の支援をしていきたいと考えています。
社労士事務所でありながら、社労士事務所向けの手続きのソフトをシステム会社と一緒に作って販売しているところや、就業規則の作成が楽になるようなITサービスを展開している社労士事務所があります。社労士事務所だからこそこんな機能がついてほしいといったかゆいところがわかると思います。私も同様に社労士事務所向けにかゆいところに手が届く英語の業務支援をしていきたいです。
元々は、翻訳会社になんでも依頼できるものだと思っていたのですが、実はスポットでの対応はできるものの、中長期的に対応することが難しく、翻訳会社によっては対応ができない分野があるということが最近わかりました。英語で日本の労働法や法改正について説明する、外資系企業の親会社との即時性が必要なやりとりや月次レポート作成するなど、事務所を開設してから英語対応はずっとやってきた業務だからこそ、ノウハウもあります。なので、バイリンガルを雇うまでの需要はないけど外資系の企業がクライアントにいるので、その部分だけ助けて欲しいといったような社労士事務所と連携して、英語支援をしていきたいと思います。
2つ目は、職員についてです。
社労士事務所なので、「いい会社にしていきましょう」と常々顧問のお客様には言っているのですが、まずは自分たちの事務所からだと思っています。
従業員の中に子育て中のママもいるので、柔軟な働き方に対応しています。例えば、子供の急な体調不良や子供のイベントの送り迎えがある際に、特に許可などは不要で子育てをまずメインに全力で取り組んでもらい、すきま時間に可能な限り仕事をしてもらっています。将来的には障害者雇用も進めていき、いろんな人が働けるような職場にしていきたいと考えています。
当事務所は、従業員の夢も応援しています。MBAの取得が夢だった従業員に通常業務のパフォーマンスと大学院での成績内容に応じて授業料を負担してMBAを取得してもらいました。最近では、公認会計士試験にチャレンジしている従業員の受験料、授業料、テキスト代を負担して、試験前には休暇を取ってもらうなどの対応をしました。従業員の夢を応援することで、将来的に事務所に還元してもらえたら嬉しいなと思っています。少数精鋭の事務所ではありますが、「いい会社にするにはまず自分たちの事務所から」「人を大切にするにはまずは自分たちの事務所から」ということを大切にしていきたいと思います。