大手、中小、ベンチャーとタイプの異なる企業での人事経験をお持ちの正木先生に、事務所の特徴や今後の社会保険労務士業界について、働き方改革を絡めてインタビューさせていただいた。
著書
我慢する理由:職場の矛盾や理不尽、人間関係に向き合いストレスに強くなる方法
講演、セミナー実績多数
先生が社会保険労務士を志した理由は?
25年間大手、中小、ベンチャーあらゆるタイプの企業での人事の実務や責任者、管理職をやっていました。
企業に属している中では限界もあり、将来的にも生涯現役でいたいと考えた時に、いずれはコンサルタントとして独立したいなということを10年くらい前からずっと考えていました。その頃に、社会保険労務士という資格を取得しておくのも悪くはないかなと考えるようになり、自身のスキルアップにもなりますし、クライアントに知ってもらうという意味でもいいのではとなり、チャレンジしてみたことがきっかけです。
ヒューマシー人事労務研究所の特徴って?
1番の強みはタイプの異なる企業での生の人事を知っているところです。
基本的に人事の実務はすべて現場で経験していますし、そこでの最後の10年は、社内の労務相談の窓口をやりました。その中で、ハラスメント対応やメンタルヘルス対応など、労務的な対応をかなりやってきました。
社員研修もコンテンツ作りを全て自分でやったり、制度作りもしたり、労基署対応の窓口もやっていたので、この経験を組み合わせながら対応ができますし、引き出しが多いところは特徴だと思います。
健康管理と労務管理と人事管理に携わり、それをつなげることができる社労士は少なく、独立してからも、他と違う、新しいと言われることも多いです。
相談に来られた方に対しては、基本的にみなさん状況が異なると思いますので、マニュアル的な対応ではなく、状況に応じて絶対に抑えないといけないことは抑えて、意向を踏まえ、できることを整理して、先入観を持たずに対応することを心がけています。
今後の社会保険労務士業界とその中での先生の展望について教えてください。
社会保険労務士の業務に、諸々の手続きや助成金の申請があるのですが、今後そういった手続きや書類作成などの業務は、AIで、機械化なり自動化が進んでくる可能性が高いので、コンサルティング的な要素が重要になってくると思っています。
今、政府が取組んでいる働き方改革の中で非正規雇用の待遇改善や過重労働対策が議論されています。また、健康経営といったものも注目されています。そうしたことを進めていくために、人事、労務のプロである社労士が力を発揮していけるのではと思います。
大手企業ですと自社でできることもたくさんあると思いますが、中小零細企業はやりたくてもできないと思っているところが多いです。実はお金がかかると思ってできていない企業もあると思いますが、人事労務の観点から言うとお金をかけなくてもできることがけっこうあります。そういったところをアドバイスしながら、力になっていくことで、メンタル面で苦しんでいる人や人手不足で苦しんでいる企業を助けることができます。
中小零細企業は特に、意図せずに発生している問題やトラブルもすごく多いです。そういう点に気づいていただき、知らず知らずによかれと思ってやったことで悪い方向にいかないよう手伝えるのも社労士ではないかなと思っています。
弁護士は問題が起きてから動きますので、その問題が発生しないための予防や体制作りができるのは我々社労士が力を発揮していくべきところです。今後はそういうことができる先生とできない先生の差が開いていく可能性が高いと思います。
政府が働き方改革を進めていくとなると、そこに法律も絡んできますので、社労士だからこそできることを、私はコンサルタントとして業務幅、可能性を広げていけたらなと考えています。その中で、採用のコンサルティングや組織風土作り、ストレス耐性をどうあげていくかの研修、制度作りやニーズがあれば規程作りなどをメインにこれまでの経験も活かしてやっていけたらと思っています。
今テーマにしているのは、「中小企業にも健康経営を」です。
大手だけがやるものだと思っている人も多いですが、中小企業の方が影響は大きいので重要です。お金をかけなくてもできること、お金をかけるとしたらポイントはどこか、その企業の身の丈にあった中で、できるところからやっていきましょうというスタンスで進めています。あとはストレスチェックから組織分析をしていろんな企業のお手伝いをしていけたらと考えています。