長年民間企業に勤め、人事総務や経理業務、海外赴任などを経験されてきた流石先生。これまでの経験を活かして、お客さまが直面されている経営課題などに共に向き合い、トータルでサポートされています。そんな先生に事務所の特徴や今後についてなどインタビューさせていただいた。
先生が社会保険労務士になったきっかけは?
大学卒業後はサラリーマンとして、規模の異なる様々な業界の会社で管理部門に所属し、経理業務や人事総務業務を担当していました。こういった業務を経験する中で、自分の中で武器になるものを身につけて手に職をつけたいと思うようになったことがきっかけで、この分野の専門家である社会保険労務士を目指すことにしました。
資格取得後、日々実務をこなしていく中で、人事評価制度や経営のことで悩まれている経営者や経営幹部の方のお力になりたいと思い独立しました。
TS人事労務オフィスの特徴って?
基本的に社会保険労務士の仕事というのは、行政手続きの代行という要素が1番大きいです。ただ、単なる代行ではお付き合いいただいている企業にとってあまり大きなメリットを感じていただけないと思います。それなりに知識がある従業員ならできてしまうようなことをやるのではなく、例えば、従業員にとって良いパフォーマンスができる環境を整えることが企業の業績アップにつながり、給料やボーナスにも反映される、そんな企業と従業員の関係がwin-winになれるようなコンサルティングをしています。
考え方としては税理士の先生に近いところがあるかもしれません。ただ、税理士と私(社会保険労務士)では視点が異なります。税理士の先生は主に業績やコスト削減など数字面から企業を見てお話されると思いますが、私は人材=従業員にスポットを当ててお話をします。頑張ったからには見返りが欲しいというのは誰しもが思うところなので、頑張った成果に対するインセンティブや給料、人事評価制度をアレンジして、企業にとってプラスになるご提案をさせていただきます。
また、私はサラリーマン時代に経理業務をやっていた時期もあったので、給料やボーナスを増やしたり減らしたりすることで、業績にどれだけ影響があるのかということも実際に見てきました。20年以上サラリーマンとして民間企業で働いてきた経験をもとに、労務課題や経営課題に対して、経理業務を経験した視点も交えながらアドバイスできるところも当事務所の特徴です。
日本は少子高齢化の影響で人口が徐々に減ってきているため、海外に目を向け始めている企業も増えてきています。今は海外に拠点がないものの、その企業の置かれている状況によっては今後、海外に工場を作ったり、販売拠点を作るといった選択肢も出てくると思います。そんなときに、私自身海外赴任の経験もありますので、その経験をもとにサポートさせていただいています。社会保険労務士の先生で、海外赴任の経験をされている方は少ないと思います。言葉の問題や生活拠点・海外会社の状況なども含めてグローバルな視点でお話させていただくことが可能です。
大手企業は人事総務などの管理部門にそれなりの人員を割くことができると思いますが、中小企業の場合は、なかなか人員を割くことが難しく、管理部門全般を一人に任せてしまっている企業も少なくありません。場合によっては経営者の方が直接されるケースもあります。そのため、社内がどのようになっているのか、なにが良くてなにが悪いのかを把握されていない経営者の方も多数いらっしゃいます。そこで専門家の立場から、なにが良くてなにが悪いのか、その理由やどこを改善すればより効果が出せるのかなどを筋道を立ててわかりやすくお伝えすることを心がけています。
最近では、政府主導の働き方改革により「同一労働同一賃金」といった言葉なども出てきています。もちろん我々専門家はその言葉を理解していますが、それに対して結局どういった取り組みをしなければならないのかわからないという経営者の方も多いと思います。そんな方々に対して、これはどんな主旨の政策・法律で、政府はなにを求めていて、どんな取り組みをしなければならないのかを理解しやすい言葉でかみ砕いてご説明しております。もちろん、各企業の置かれている状況によってはすぐに対応ができるところ、できないところもあると思います。「政府が取り組むように言っているのでやってください」と頭ごなしに言ったとしても、その取り組みに対する費用負担がその企業にとっては重くのしかかってしまうケースもあるかもしれません。現在企業が置かれている状況を私自身がしっかりと理解した上で、どういう方法を取れば費用の負担を抑えつつ、法律面をクリアすることができるのかを考え、各企業のステージに合わせた取り組みを促すことも私の役目だと思っています。
今後の社会保険労務士業界についてと先生の展望を教えてください。
弁護士、税理士、社会保険労務士などの士業の業務がAIに取って代わられるではと言われています。確かに、社会保険労務士でいうところの手続き業務のようなルーチンワークはある程度内容が決まっているので、情報を入れるだけで、基本的にはできる時代になっています。それを踏まえて、ただルーチンワークをこなすだけでなく、企業の経営課題に対してコンサルティングができたり、システムやITに強かったりなどプラスαで強みになるものが必要です。
昭和の時代の働き方が今では否定されるような時代になってきているので、そういったこともしっかりと理解した上で、会社の状況を踏まえてアドバイスできるようにならなければ、専門家にとって厳しい時代になってくるのかなと感じています。
今後に関してですが、今は個人事務所でやっているので、法人化するなどやり方は色々とあると思いますが、とにかくお付き合いいただける企業の数を増やしていくことが短期的な目標になります。 人事制度のアレンジなどコンサルティングによる成果はすぐに出てくるものではないので、中長期的な目標としては、お付き合いいただいた企業が、5年10年20年と経った時に、業績がアップして、事業規模の拡大や従業員の数も増やすことができ、「会社を大きくすることができました」「お付き合いしてきてよかったです」と言ってもらえるようになることです。