相続が起こる前の生前対策に力を入れている矢部先生。家族信託やペットの信託を専門にやられている行政書士はまだまだ少ないです。そんな先生に事務所の特徴や今後の業界についてなどインタビューさせていただいた。
先生が行政書士を志した理由は?
小さい時から法律家に憧れていて、1度美容系の会社に就職したのですが、諦めきれず行政書士の資格を取得し、開業しました。
矢部かおり行政書士事務所の特徴って?
当事務所は、相続に特化しています。一般的に相続に関する仕事は、相続が起こってからの争いやどうにもできない状態になってからが多いのですが、その争いを未然に防ぐために生前対策に力を入れています。
今一番取り組んでいるのが家族信託です。家族信託は、生前のご本人の想いを契約書としてきちんと形に残して、次の時代に繋いでいくやり方です。親が認知症になるかもしれないと悩まれて相談に来られる方もいますが、家族信託は認知症対策にもなります。
また、ペットのための信託にも力を入れています。ペットを飼っていて、ご自身に万が一何かがあった時のために、ペットと飼育費用を信頼できる人に預けて育ててもらうという家族信託の中の1つの仕組みです。ペットを1人で飼われている方が亡くなった場合に、そのお子さんが自分の所では飼えないというケースが多く、結果保健所に引き取られたりすることもあります。ペットの信託契約を事前に結んでおくことで、安心してペットを飼えるようになります。
相続の相談は、プライバシーを含む内容なので、まず私のことを信頼してもらえるようにヒアリングにすごく時間をかけています。1番最初の面談も基本的に1時間ほどとっているのですが、結果3時間くらいかけてお話するケースもございます。家族信託の仕事は、長い付き合いになりますので、信頼関係を築くことをとても大切にしています。
遺言の相談で話を聞いていくと家族信託の方がいい場合もありますので、その際は、家族信託をおすすめしています。なかなか最初から家族信託をやりたいというお客様は少ないので、まずお客様がどうしたいのかしっかりとヒアリングをしてから選択肢を提示して選んでいただくようにしています。
今後の行政書士業界とその中での先生の展望について教えてください。
今までの行政書士は代書屋と言われていました。ただ、行政書士はできることがとても多く、書類だけでも1万種類ほど対応できると言われています。その中でも自分の得意分野を見つけて絞っている先生方が長く続けていけているのかなと思います。
行政書士はどんな仕事をしているの?といったことを言われることが多いのですが、行政書士が1番一般の方にとって身近な町の法律家です。あらゆる法的な問題の相談にのることができ、それから弁護士にお願いした方がいいのか司法書士にお願いした方がいいのか、窓口的な役割も向いていると思っています。ネットワークも広いので、まず窓口の私たちにご相談いただいてから、他の先生方にご紹介させていただくことも多いですね。
相続は人生最後の大仕事だと私は思ってます。人生最後の大仕事をやり遂げるためには、専門家の力を借りて、 ご自身の最後の気持ちや想いを形に遺して、次の時代に受け継がれるように伝えていくことが大切です。そのお手伝いを今後もしていきたいと思います。