会計事務所系コンサル会社で20年近い業務経験があり、人事労務以外にも経営者のサポートやお客様に合わせた業務ソフト【Excel等】の開発まで行っているKF経営システム労務事務所藤田代表に事務所の特徴や今後の業界、展望についてインタビューさせていただいた。
先生が社会保険労務士を志した理由は?
一番の理由は「ヒト」に関わる仕事が好きだと言う事です。その中でも大きな理由は、職場環境にありました。
①「社会保険」給与では重要なキーワードです。10年間の営業職を経験後、モノやサービスの販売ではなく、「ヒト」と関わる仕事をしたいという想いから会計事務所系コンサル会社に転職しました。会計事務所では給与計算を行います。給与計算では、所得税を計算する前に社会保険料(雇用保険・健康保険・厚生年金保険)を控除後に所得税を計算します。従業員にとって、給与は重要なキーワードです。給与では、社会保険が重要なキーワードになります。
② 顧客と会話する中、人事労務の相談が増えたこと
相談の多くは「会計や税務」に関係することですが、最終的には「ヒト」に関係する話題になることが多かった事です。 雇用に関係する手続き、従業員の役割(営業職、経理、総務)、給与計算や人事制度、従業員が働きやすい職場改善は、どうしたら良いのか?などです。多くの課題があり、解決するお手伝いがしたいと思う事が増えたことです。
③ 当時の職場には、社会保険労務士という資格者がいなかったこと
会計事務所系コンサル会社だったので、公認会計士や税理士の資格者が多いのですが、社会保険労務士がいなかった為、「ヒト」に関わる資格、社会保険労務士を目指しました。
KF経営システム労務事務所の特徴って?
1.中小企業を元気するために今までの経験と知識をアウトプットしたいと言う「想い」が強いことです。
2012年6月社会保険労務士として開業しました。前年の3.11の東日本大震災で「生き方」を熟考するようになりました。「ヒト」の力ではどうにもならないこと、「ヒト」の力で元気になること、「ヒト」の力によって、夢や希望を与えられることなど、色々と考えました。これからの人生、サラリーマンとしてぶら下がるのではなく、今までの経験と知識で中小企業を元気するために支援したい(アウトプットとしたい)という「想い」が強くなりました。
2.「経営面」「人材面」「効率面」から、社内から会社を強くする事です。
①「経営面」では、【財務】と【人事】の「バランス」が大事です。
【財務】は、お金の流れが重要です。人間で言えば血液の流れと同じです。
【人事】は、従業員が働きやすい環境を整備することです。人間で言えば体調管理です。
・お金や時間という「インプット」に課題は、ありませんか?
・利益や成果という「アウトプット」に課題は、ありませんか?
・バランスを崩すような企業(組織)風土が、課題ではありませんか?
②「人材面」では、自社にあった労務管理の「あり方」が大事です。
企業は、その業種・規模・地域・収益構造・従業員等、企業の数だけ特徴があります。まったく同じ企業は存在しません。だからこそ、自社にあった、ふさわしい労務管理が必要です。すぐに出来る事と時間の掛かる事を区分して労務管理の「あり方」を見直すことです。
・自社のあった就業規則、給与規定や各種届出は、出来ていますか?
・就業規則、給与規定、各種届出は出来ていても、運用面で問題はありませんか?
・労使トラブルを未然に防ぐ準備や対策は、出来ていますか?
③「効率面」では、データが上手く活用できていない事に「気づくこと」が大事です。
会計事務所系コンサル会社に勤務しているとき、中小企業は「活用できる有効なデータがあるのに、上手く活用できていない」という事例を多く見てきました。
会計システムに社内のCSVデータをちょっと活用するだけで、経営課題を発見するための有益なデータになる可能性があります。
・中小企業の多くは、業務効率化を進める担当者がいないとか、詳しい人がいない。
・経営者が知らないところで、多くの時間(労働時間)とコストがかかっている。
・外部に依頼するけど、内容とコスト面など問題は無いのか、不明点が多い。
・市販の業務ソフトに仕事をあわせると、効率面が悪くなっている。
上記①~③を当事務所に相談して頂ければ、経営者様の強力な支えとなる外部重役として、経営課題を解決する支援や多様なご提案をさせていただくことが可能です。また、基本的な労務事務の他にもお客様にとって、非常に有効な会計システム・業務ソフトのご提案や提供を行っております。
今後の社会保険労務士業界とその中での先生の展望について教えてください。
ITやAIが進化することによって、働き方が変わり、士業という業界も変わるのでは?
①市販されている業務ソフトとネットアプリの増加で、需要が減る業務
社会保険労務士の定型業務は、外部に依頼しなくても社内でできるようになってきた事で、社労士の独占業務と言われる1・2号業務の手続き業務や給与計算業務の需要は減っていきます。そして、Web化で電子申告の進化によって、専門の士業に依頼しなくても、自己完結する時代になっていきます。
②市販されている業務ソフトとネットアプリの増加で、需要が増える業務
ネットアプリ等の転職サイトで、雇用の流動化(転職者・離職者が増加する現象)が増えていきます。複雑な雇用形態(正規社員、非正規、嘱託社員、地域限定社員、パートアルバイト社員など)によって、仕事の役割や責任の所在が不明確だと、リスク面を考えると後日、大きな問題が発生します。また、中小企業からすると人材育成の時間とコストも考慮すると、IT活用によって仕事を行わなければ、業務効率を上げる事、情報の共有をする事が難しくなってきます。そのため、組織によっては外部に依頼するか、多能工的・横断的な業務を行う人材が必要になってきます。そういった職場環境で起こるリスクという課題や労務問題が増えるのは無いかと感じています。
③単なるスペシャリスト的なコンサル業務ではなく、多様な問題解決能力が必要になる
インターネットでわからないことを瞬時に調べることが出来る時代です。
社会保険労務士と関わる人事担当者や総務担当者は、ネットで調べれば、すぐに解決できるケースが増えています。
ただ、ネット上には、間違った情報や古い情報も増えていきます。働き方改革で多様な雇用形態が増えているので、労働に関係する法律の法改正も多いです。
また、高齢化の社会を考えると、団塊の世代の大量退職とご本人の年金支給の問題を解決するための相談が増えます。複雑なケースに対応するには、多くの時間と労力がかかります。そこにスペシャリストとしての付加価値は有りますが、社労士という專門知識があるだけではなく、依頼者の悩みに寄り添いながら、解決できるコンサルティング能力を磨く事が必要ではないでしょうか。