顧客の立場に立った対応を心がけている時枝先生。最近では、働き方改革の影響で賃金体系に関する相談も多くなってきているとのことです。そんな先生に事務所の特徴や今後の業界についてなどインタビューさせていただいた。
所有資格
特定社会保険労務士
著書
就業規則の見直しと運用の実務(共著)
企業のうつ病対策ハンドブック(共著)
セミナー実績多数
先生が社会保険労務士を志した理由は?
元々百貨店に勤めていました。その中で若手の社員は催事の企画と運営を任せてもらえます。そこでは、一定期間だけ来る販売員さんと期間限定のチームを組んで予算を達成しないといけません。商品の良し悪し以上に彼女たちにいかに販売に専念してもらえるかが予算達成に大きく影響するのではと考え、始まる前のミーティングから営業時間中の配慮等を自分なりに工夫しながらやっていました。
人事異動の話がきた際には、人事部への異動希望を出したのですが、その時の上司から「百貨店マンたるもの売り場が基本だから、販売のことをひたすら考えなさい」と言われました。確かにその通りだと思いましたが、同時に人事を見てみたいな、やってみたいなという思いは残っていました。
そんな思いもある中で、資格をとって働きたいと考えるようになり、いろいろ調べていた中で、社会保険労務士なら百貨店時代の経験をそのまま生かせるのではと思ったことがきっかけです。
ポルテ―経営法務の特徴って?
お客様に感じよく丁寧に説明することに注力しています。
電話の問い合わせに関しては日中ほぼ途切れることがないのですが、それは、お客様が私たちに聞きやすい、聞いたら答えが返ってくるという期待があるからこそだと思っています。そこから派生して、給与の相談から問題社員への対応など難しいテーマの相談をいただく件数もとても多いです。そういったテーマの対応は、こちらも勉強が必要ですし、顧問先の社員への配慮も必要で、そこから学ばせていただくことがたくさんあり、対応件数が多いので、経験が豊富なのは強みです。
現在は賃金体系に関する相談も、働き方改革関連法案による影響で非常に増えています。それはこれからも増加が見込まれていますので、当事務所も注力しています。
働き方改革では、やっている仕事の内容で給料が決まるべきという「同一労働同一賃金」を適応しようとしています。
機械設備を購入し、10人でやっていた作業が7人でできるようになったときに3人の余剰人員ができます。欧米だと解雇になる可能性もあるのですが、日本では新規事業にその3人を担当させて、給料はそのままにします。その時に、やったことのない仕事をやるから給料は新人と同じにするということは、今までの日本企業ではやってきませんでした。仕事に給料を貼り付けるではなく、人に給料を貼り付けて、揉め事にならないようにしていたのが今までの考え方です。それが働き方改革により、仕事に給料を貼り付けるようになるので、かなり大きな変化を要求されています。そこで、実際にはどうすればいいんだということで相談件数が多くなってきています。
ご相談いただいた際は、相手の立場に立ったご回答を申し上げることを心がけています。「法律上こうです」と言うだけであれば役所に聞きに行けばタダで教えてもらえます。経営している人や管理職、幹部社員の立場から会社をよくしていくという視点で、どうすれば問題が解決できるのか、どうしていくのが1番良い方法なのかアドバイスするようにしています。
今後の社会保険労務士業界とその中での先生の展望について教えてください。
社会保険労務士業界は、2つに分かれていくと思います。
1つは、今までの諸手続きを企業に代わって行う事務所です。手続きはAI等により自動化できると言っている方も多いですが、一方で法令がどんどん複雑になっていて、基本となる手続法を理解していなければ、結果が表示されていても判断がつきませんので、まだまだ人の力が必要です。
2つは、相談やコンサルティングといった相手の立場に立った提案をする事務所です。こういったニーズはますます増えていくと思っています。
当事務所は、今後も引き続きお客様に感じよく丁寧に説明することに注力し、相手の立場に立ったアドバイスを心がけながら、相談に答えられる幅と深さをより掘り下げていきたいと思っています。