多くの社会保険労務士事務所が手続き業務をメインでやられている中で、手続き業務を土台としたコンサルティング事業に力を入れられている越石先生。その他にも事業を展開し、人事労務を通じて企業の発展に貢献されています。そんな先生に事務所の特徴や今後の業界についてなどインタビューさせていただいた。
著書
小さな会社の就業規則の見直し方・つくり方がわかる本
マスコミ取材、執筆、セミナー実績多数
先生が社会保険労務士を志した理由は?
20年くらい前はサラリーマンとして、やる気を持って仕事に取り組んでいたのですが、3か月間休みがない状況や売れば売るほど休みがなくなる状況について疑問を感じ始めていました。そして、お金はいらないから休みが欲しいという状態になったときにさらに疑問が深まりました。
企業の総務部や人事部に営業に行くことが多かったので、そこで話を聞く中で社会保険労務士という仕事を知りました。働く側、企業側の働く環境を整備できる仕事に興味を持ち社労士になるために勉強を始めました。
元々私が働いていた会社は退職してから3年後に多くの人材が流出し、事業が立ち行かなくなり倒産しました。それを聞いて尚更、人材の定着や人を大切にすることは企業にとって欠かせないことだと感じて、今は社会保険労務士として誇りを持って仕事をさせていただいています。
社会保険労務士法人 D・プロデュースの特徴って?
当事務所には私を含めてスタッフが8名いますので、社会保険労務士の業務として対応できない分野はありません。スタッフ内で役割分担ができていることが特徴の1つです。
主な事業分野としては、アウトソーシング事業、労務コンサルティング事業、人事評価コンサルティング事業、研修事業の4つです。多くの社労士事務所さんはまだまだアウトソーシング事業の手続き業務をメインでやられていると思いますが、当事務所は手続き業務を土台としたコンサルティング事業で差別化を図っています。従業員さんの情報を管理させていただいているので、会社への定着率や賃金水準を把握できる立場にあり、その人事情報のビックデータからお客様の事業の方向性を勘案して、色々なアドバイスや支援をしています。お客様は経営理念や夢をお持ちだと思いますので、その実現を、人事労務を通じて貢献していきたいと考えています。
相談の際には、色々な解決策やヒントは頭に浮かんでくるのですが、それをすぐに提示せず、なるべくお客様とお話をしながら、お客様側から解決策を引っ張り出せるような話し方を心がけています。もちろん解決することはすごく重要ですが、どうしますか?どうしたいですか?と話をする中で、お客様自身から出てきた解決策にアレンジを加えて、具体的な解決に向かってスタートできるような体制を構築できるようにしています。教えるというよりは、一緒に考えるというスタンスですね。
事務所としては、従業員さんが数人のところから数千人規模までのアウトソーシングもお受けすることが可能です。スタッフ間での情報共有度も高いので、お客様が抱えられている問題について多面的に考察することで、スムーズなご提案や解決ができます。また、集計や登録作業等のマンパワーが必要な作業も、人員の柔軟なスケジューリングにより、お客様のご要望に合わせた対応ができます。
社会保険労務士業界では、電子申請をやらなければならない時代がきています。まだまだ業界内では、40~50%くらいのところしか電子申請をやっていない中で、当事務所は電子申請にほぼ100%対応し、業務の効率化を図っています。
お客様にご安心いただけるよう情報管理体制も徹底しています。お客様の対応をさせていただく部屋と作業をする部屋を分けているので、不特定多数の人は作業スペースに入れないようにして、お客様の大切な情報を万全なセキュリティ体制のもと管理しています。法人様とお付き合いする以上、私たちも同じレベルで管理体制を構築していくことが重要だと思っていますので、これまでITや人に対する投資をしてきましたし、これからも必要な投資は行っていきたいと思っています。
今後の社会保険労務士業界とその中での先生の展望について教えてください。
今後社会保険労務士業界は組織化して色々な会社さんの支援をしていく事務所と目で見える範囲の中でお客様と二人三脚やっていく個人事務所に2極化していくと思います。
また、社会保険労務士に限らず、士業という守られた世界は今後なくなっていくのだろうなと思っています。手続き業務の中で、労働基準監督署、ハローワーク、年金の届け出に関しては現状我々しかできないということになっているのですが、それが段々と垣根がなくなり、我々の特権ではなくなってきます。申請の電子化も、会社さんが安く簡単にできる時代がきているので、これまでの顧問契約での手続き業務というのは減っていくと思います。
今後に関しては、手続き業務は減っていきますが、なくなることはないと思っているので、徹底的な合理化を果たして、例えば、現在の受託金額の半額になっても利益を出せる体制を整えて、勝ち残っていくことが重要だと思っています。
また、人事情報のビックデータをもとにコンサルティングに特化していきたいと考えています。労働時間、職種、勤続年数、年齢、賃金がすべて把握できますので、それらを活かしてお客様に合ったご支援をして、成長、発展、夢の実現に向かって、人事労務を通じて貢献していけるサービスを展開していきたいと思っています。